被相続人又は被相続人の事業に関して、相続人が財産上の給付や財産上の利益を給付した場合、金銭等支出型の寄与分が認められる場合があります。

親(被相続人)が家を新築する際に子供(相続人)がお金をあげたりした場合や、親(被相続人)が老人ホームに入るために子供(相続人)が入居金を支払った場合や、共稼ぎの夫婦が一方(被相続人)の名前で不動産を取得することについて相続人がお金を出している場合、親(被相続人)に対し、子(相続人)が、自己所有の不動産を無償で使用させる場合などのケースがあります。

寄与分として、比較的認められやすい類型です。

認められるためには、以下の要件が必要です。

(1) 被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を越える特別な寄与があること

金銭等支出型で、特別な寄与があるとされるためには、以下のア及びイが必要です。

ア【特別な貢献】

財産給付の内容(金銭なのか、不動産なのかの特定が必要です)が、被相続人との身分関係に基づいて通常期待される範囲(扶養義務)を超えていることが必要です。小遣い程度の給付では、特別とは言えません。

イ【無償性】

つまり、財産給付が無償又は、これに近い状態で行われることが必要です。借金の場合は、被相続人から相続人に対する返済義務があることになってしまうため、無償とは認められません。

※金銭等の財産的利益を提供するだけですので、【継続性】や【専従性】は不要です。

(2) 寄与行為の結果として被相続人の財産が具体的に維持又は増加していること

金銭等の出資の効果が、相続開始時に残っていることが必要です。残っていなかったり、具体的に維持又は増加していないと寄与分として認められません。

よく問題となるのは、被相続人の経営する会社への金銭出資、逆に、相続人の経営する会社から就労実態のない被相続人に報酬を支払っている場合ですが、前者は会社に対してであって被相続人個人に対してではないこと、後者は、相続人の出費ではないことから、寄与分として認められるのは難しいでしょう。

【上記要件の立証】

金銭等の出資を裏付ける立証を行うことになります。

証拠としては、金銭の出資の場合は、その履歴がある通帳、振込明細書、領収書等ですし、不動産の贈与等の場合は、登記簿謄本、契約書等です。

また、金銭等の出資を必要とした事情、出資の内容、経緯、時期等を記載した寄与主張者等による報告書・陳述書も作成し、提出することになります。

【評価方法】

出資した金銭、不動産等の財産の相続開始時(被相続人の死亡時)における価格を基準とした上で、裁判所が裁量で、寄与分を算定します。

このように寄与分の主張は難しく、寄与分の主張を行う場合は、弁護士にご相談下さい。