75歳の夫と、72才の私(妻)の夫婦二人暮らしです。私たちには、子供がいません。夫の両親は既に亡くなっており、夫は3人兄弟でしたが、姉も1人息子を残し、5年前に亡くなっており、生きているのは夫と5つ下の夫の弟だけです。夫は、自宅及び賃貸アパート等の不動産及び預貯金を持っています。夫が亡くなった場合、これらの財産は、どうなるのでしょうか。
上記の状況で、夫が亡くなった場合、夫の遺産(相続財産)は、妻である貴方、亡くなった夫の姉の息子(甥)、夫の弟の3人が相続人として相続することになります。この場合、法定相続分は、妻であり配偶者である貴方が相続財産の4分の3を相続し、夫の姉の息子(甥)と夫の弟の法定相続分は、合計で4分の1ですので、それぞれ、8分の1の相続分を持つことになります。そこで、遺言書がない場合は、この三人で協議し、遺産を分割することになります。

相続の順番は、民法が定めていますが、配偶者は必ず相続人です。

子供がいらっしゃる場合は、相続人は、配偶者と子供です。法定相続分は、配偶者と子供で2分の1ずつとなります。お子さんが複数いるときは、子供の法定相続分を人数で割った数字が、それぞれの法定相続分となります。

お子さんはいないが、亡くなった方の両親の両方又は片方がいる場合は、配偶者と両親が、相続人になります。法定相続分は、配偶者の方が3分の2で、両親は、3分の1になります。

お子様も亡くなった方のご両親も、いない場合は、配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。これがご質問の場合です。法定相続分は、上記のとおり、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。ご質問の場合、亡くなった夫の姉も既に亡くなっていますが、このように兄弟姉妹が亡くなった場合もその子供(甥、姪)が相続人になります。これを代襲相続(相続人が亡くなった場合、その子が相続すること)と言います。ただし、甥・姪までで、兄弟姉妹だけでなく甥・姪も亡くなった場合は、その子(兄弟姉妹から見ると孫)には代襲相続しませんので、ご注意下さい。

子供がいない場合、配偶者にすべての財産を相続させたいと思われる方もいらっしゃると思います。この場合は、「すべての財産を●●●●(配偶者のお名前、生年月日等)に相続させる。」等の内容の様式の整った遺言書を作成しておいていただければ、配偶者の方にすべての財産を相続させることができます。

遺言書で定めても、法律で定められた遺留分については、当該相続人から請求があると支払わなければなりませんが、相続人が兄弟姉妹の場合は、遺留分がありませんので、請求される心配はありません。

不明な点がある場合は、相続に詳しい弁護士にご相談下さい。