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先日、母が亡くなりました。母は父が亡くなった後、所有する資産の収入で1人で生活していました。
母の相続人は、姉の私と弟です。
母は、ある程度の資産を有していましたが、友達が銀行等の金融機関から借り受けた融資の連帯保証人になったり、賃貸借契約の連帯保証人にもなっていたようです。
私たち姉弟は、相続(単純承認)した方がよいか相続放棄した方がよいか、どのようにしたらよいでしょうか。 -
このような場合は、遺産の内、マイナスの負債をプラスの資産で返済し余剰ができるかどうかを調査、確認し、相続(単純承認)するか、放棄を行うかを決めることになります。
とはいえ、(連帯)保証債務は、相続の際に、探しにくい債務です。
普通の債務であれば、被相続人(本件ではお母様)が支払いをしていることから、被相続人の口座の履歴等を見れば、支払われた事実がわかりますし、被相続人が亡くなられ支払われなくなれば、債権者から連絡も来ます。
しかし、連帯保証債務の場合は、債務者本人が支払いを行っている限り、被相続人の口座履歴からもわかりませんし、債権者も何も言ってきません。保証債務の内、身元保証債務については相続されないもの(大判昭和18年9月10日大審院民集22巻948頁)とされています。
しかし、それ以外の通常の連帯保証債務(金銭債務)は、相続により当然に各相続人に相続分に応じて承継されることになります。
本件で言えば、相談者ご兄弟が相続されれば、相談者が2分の1ずつ承継することになります。結局、連帯保証を、一つずつ調査、残額等の確認をしていくことになります。
本件の場合であれば、従前聞いていたことに加え、お母様のご自宅等に契約書等の書類がないか探すことになります。
また、顧問税理士さん、知っていそうな親戚、友人にお母様の連帯保証の有無、相手等を聞くことになります。友人に対する融資の連帯保証については、単体の貸し付けで借りた融資の保証(後記の根保証でない保証)の場合は、返済が進んでいれば残額が減っているので、その残額を友人、当該銀行等の金融機関に確認することになります。
この残額は、仮に今後、友人がその融資に対し全く弁済をしなかった場合の相続人が支払わなくてはならない最大額となります。友人の融資の連帯保証が、個人根保証(継続的な取引などから生じる不特定の債務をまとめて個人が保証するもの)の場合は、2017(平成29)年の改正で大分変わりました。
そこで、現時点(令和3年)の根保証の規制について、相続に係わることが多い部分について下記にまとめてみます。
①債務の種類:貸金等債務に限定されない債務、従って、賃借人が負担する債務を連帯保証する場合も含まれる。
②極度額がない場合:保証の効力は生じません。
③保証人が亡くなった場合:元本が確定します。上記②から③の規制は、従前は、貸金等の債務の個人保証にのみ限定されていましたが、2020年4月1日(施行日:改正が効力を有する日)以降に締結されたそれ以外の一般の個人根保証(賃借人の連帯保証人等)についても適用されるようになりました。
友人の銀行等の金融機関からの融資の個人根保証については、保証人の死亡により元本が確定します。
当該銀行等に被相続人(お母様)の死亡の事実を伝え、現時点での融資の残額を聞くことになります。この残額は、仮に今後、友人が今後、その融資に対する全く弁済をしなかった場合の、相続人が支払わなくてはならない最大額となります。友人の賃貸借契約の連帯保証人になっている場合は、2020年4月1日以降に連帯保証契約が締結されている場合は上記融資の個人根保証と同様に確定された残額を確認することになります。
2020年4月1日より前に連帯保証契約が締結されている場合は、賃料、現在の滞納の有無、金額を確認する等し、今後のリスク(支払わなければならなくなる金額をどの程度に見積もるか)の予測をすることになります。
その上で、お母様の遺産の内、マイナスの負債を、別に調べたプラスの資産で返済し余剰ができるかどうかを調査、確認し、相続するか放棄するか等の判断をすることになります。
連帯保証債務について
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