母親が亡くなり、兄弟姉妹がその遺産をどう分けるか話し合っても互いに感情的になり、合意できません。
遺産分割の調停の申立てをしたいと思いますが、どこの裁判所に申立てたらよいでしょうか
遺産分割調停の申立ては、相手方(申立人以外の相続人等)の住所地を管轄する家庭裁判所、又は、全当事者が合意する家庭裁判所です。
管轄の家庭裁判所は、Google等で「家庭裁判所 都道府県名 管轄」等を検索し、裁判所のサイトで管轄の表等を、調べていただければ、わかります。

遺産分割調停の申立ができるのは、相続人、包括受遺者(遺言により、遺産の割合で遺贈を受けた者)、相続分の譲受人(相続人から相続人としての地位等を譲り受けた者)、遺言執行者です。

遺産分割調停が不成立の場合は、裁判官が審判手続で判断を出すことになりますが、審判の場合の管轄は、相続開始時(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所、又は、当事者が合意で定める家庭裁判所です。

理屈の上では、調停を申立てずに、いきなり、審判を申立てることもできますが、実務的には、審判を申立てても、調停になじまないことが明らかな場合を除き、裁判所の権限で、調停手続になります。

調停の管轄が原則、相手方の住所地とされるのは、調停が話し合いの場である以上、相手方に出席してもらわなければならないことから、相手方が出席しやすいようにするためです。

ただ、例えば、複数の相手方(相続人)がいる場合、相手方の一人がいる地域の管轄裁判所に遺産分割調停を起こすことができます
例えば、相手方3人がいて、3人の住所地が、東京都港区、北海道札幌市、福岡県福岡市の場合、この3つの地域を管轄するどの家庭裁判所にも、遺産分割調停を申立てることができます。そこで、申立人が東京都渋谷区に住んでいる場合、東京家庭裁判所に申立てるケースも多いと思います。

というのも、遺産分割調停は、全当事者にプラスな内容であること(遺産を相続できる)から相手方も出席・参加する動機があること、並びに、遠方の場合でもその地方の家庭裁判所への出頭、電話会議の使用、あるいは、家庭裁判所の調査官による意向の確認などのやり方があることから、相手方が直接、出席することが困難でも、調停が成立しやすいという特徴があるからです。

とはいえ、遺産分割調停について、どこの家庭裁判所を選ぶかも、遺産分割調停交渉の最初の選択です
相続人が複数おり、それぞれ住所地が事なる場合、管轄の家庭裁判所は遠方であるが申立人が病気等でいけない場合など、どこの家庭裁判所に申立てたらよいか迷われる場合は、弁護士に相談することをお勧めします

遺産分割調停申立てのための必要書面・資料、遺産分割調停はどのように行われるか、調停が不成立の場合はどうなるかについては、また、記事を作成します。