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私と友人Aは、30年前に、土地・建物を共同購入し、小売店を開業しました。
幸い店は繁盛し、営業を続けていました。
ところが、最近、Aが亡くなり、その相続人が、共有不動産である店舗の土地・建物(以下「本件共有地」といいます。)の現物分割を求めてきました。
私としては、そのままの状態で、店を続けたいことから、本件共有地のAの持分を買い取りたい(全面的価格賠償)と思い提案しましたが拒否され、結局、話し合いでは分割方法が決まりませんでした。
私としては、共有物分割訴訟を提起しようと思いますが、共有物分割訴訟では、裁判所により、当事者が望まない分割方法が決められる場合があると聞きました。私としては、競売の判決が出てしまうことが最も困りますが、どのような場合に競売の判決は出されるのでしょうか。 -
共有物分割訴訟において、競売の判決が出されるのは、まず、①現物分割が不可能であるときや現物分割によりその価格を著しく減少させるおそれがある場合で、かつ、②全面的価格賠償の要件(条件)である特段の事情がないこと、つまり、他の分割手段が使えないことが要件(条件)となります。
判決により行われる(強制)競売は、申立により裁判所が、買受希望者に買受の申し出を行わせ最高価格の申し出をした者に売却し、その売却代金を配当する手続です。
共有物分割の場合だと、共有者の一部が競売に反対しても,判決が出てしまえば、競売の申立が可能となり、反対していた共有者もその持分を失うことになりますので、競売の判決は、他の分割方法が認められない場合にのみ出されることになっています。おっしゃるように、共有物分割訴訟においては、裁判所は、分割方法について、当事者の主張に拘束されません。
本件のように、相談者が共有物を買い取ること(全面的価格賠償)を、Bが現物分割を主張している場合であっても、現物分割も全面的価格賠償も要件(条件)を満たさない場合は、裁判所は、競売の判決を出すことになります。このように当事者の望まぬ判決が出そうなときは、和解で、少しでも有利な結論を目指さざるを得ない場合があります。双方当事者の予想される主張等を検討しつつ、適時に自己の主張を行うことにより、できるだけ自己に有利な和解を成立させるよう交渉しなくてはなりません。
共有物分割訴訟は、このように他の訴訟とは異なる性格を持つことから、共有物分割訴訟を提起された方及び提起する方は、共有物分割訴訟になれた弁護士にご相談されることをお勧めします。
共有物分割訴訟における分割方法の優劣2(競売とそれ以外の方法)
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