相談内容
被相続人はお父様です。
お母様は、お父様より前に亡くなっており、相続人は、その子供3人です(子供も、すでに高齢でした)。
主な遺産としては、東京23区内の下町にある40坪程度の自宅兼家業の職場である土地建物(約1億3000万円)及び預貯金500万円)でした。
相談者は、長男(以下「依頼者」といいます。)で、当該土地・建物に居住するとともに、家業で働いていました。
被相続人は、長期間、依頼者と同居していましたが、亡くなる2年前位から他の相続人の家に移り住んでいました。
被相続人は、当初は、当該土地・建物を依頼者に相続させる旨の遺言書を作成していましたが、他の相続人の家に移り住んだ後、他の相続人等にも相続させるよう遺言書の内容を変更していました。
他の相続人等は、同遺言に基づき、当該土地・建物について、共有物分割訴訟を提起してきたということでした。依頼者としては、兄弟である他の相続人に対し、何らかの代償金を支払うことにより、自宅等を維持したいということでした。
当事務所の対応と結果
当事務所は、共有物分割訴訟を受任し、遺言書の無効、全面的価格賠償等を主張しましたが、相手方は、換価分割(任意売却・競売)を主張して譲りませんでした。
しかし、当該遺言の記載から当該土地・建物への相続は、遺産共有であったことから、当方は、本件遺言では、共有物分割訴訟はできない旨を主張したところ、同訴訟における相手方の請求は、却下されました。これは、たまたま、その遺言に不備があったためですが、おかげで、代償分割の準備の為の時間を稼ぐことができました。
当方としては、買い取るにしても、一定の金員の用意が必要であるところ、前記のとおり、依頼者も高齢で、融資及びその返済は無理でした。そこで、予め、依頼者のお子様達とも話し合っていました。そして、お子様達の中の1人に連帯保証人になってもらい、融資を受け、また、その返済を行う計画を立案しました。また、依頼者の死亡後に遺産分割紛争が生じないよう他のお子様には一定贈与等を前提に遺留分減殺請求権の事前放棄をしてもらいました。
このような準備が整った状態で、相手方から遺産分割調停が申し立てられました。
ここでも、ある程度の期間を要しましたが、当方が一定額を相手方に支払うことにより、円満に当該土地・建物を当方が相続する形での調停を成立させました。