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父親が亡くなり、相次いで母親が亡くなりました。
相続人は、私と弟A及び弟Bの3人です。
遺産分割で、更地の50坪の土地(以下「本件土地」といいます。)を3人で、それぞれ3分の1の割合で共有することになりました。
今後、本件土地を下記(1)及び(2)のそれぞれのように利用するためには、共有者間で、どのように決めていかなくてはならないのでしょうか。
(1) 私とAは、本件土地上にアパートを建築し、賃貸したいと考えていますが、Bは反対です。この場合、アパートを建築し、その部屋を賃貸することはできますか。
(2) 私とAは、知人のCとの間で、建物所有目的で本件土地を賃貸借契約したいと考えていますが、Bは反対です。この場合、賃貸借契約を締結することはできるでしょうか。 -
(1)に対する回答
共有地である更地にアパートを建築することは、土地の用途を変更することであり、共有物の「管理」ではなく、共有物の「変更」に該当するため、共有者の全員一致が必要であり、この場合は、アパートを建築することができません。
(2)に対する回答
建物所有目的の土地の賃貸借契約は、借地借家法の適用により、長期の賃貸借関係が成立するので、共有物の「管理」ではなく、共有物の「変更」に該当するため、共有者の全員一致が必要であり、この場合は、賃貸借契約を締結できません。
民法は、共有物の管理等について、
①変更→共有者の全員一致
②管理→各共有者の持分の価格に従いその過半数で決定する。
③保存行為→各共有者が行うことができる。
で行うことを定めています。ここで、「変更」というのは、(1)のような土地の用途の変更のような物質的な意味の変更だけではなく、(2)のような借地借家法の適用のある賃貸借契約の締結のような法律的な変更としての処分も含みます。
このように、共有不動産において、変更に該当し、共有者の全員一致を要する行為については、あとで、トラブルが生じないように、書面による記録を残しておくことをおすすめします。
また、トラブルになりそうな場合は、弁護士にご相談ください。
なお、「共有不動産の使用・収益等の仕方」について、本HPの別の部分にも記載していますので、参考にしてください。
https://www.kawai-sozoku.com/kyoyusyueki/
共有不動産の賃貸借において全員一致を必要とする場合
相続問題でトラブルになったら、川合晋太郎法律事務所にご相談下さい。
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