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Aは、B、Cの二人と、土地(以下「本件土地」といいます。)を共有しています(共有持分は、各1/3)。
しかし、本件土地は、僻地にあり、草取り等の管理費や、固定資産税が課税されるばかりで、売却もできません。
Aとしては、どのような対応手段があるでしょうか。 -
この場合、Aが本件土地の共有持分を放棄することが考えられます。
Aが共有持分を放棄した場合は、その持分は他の共有者の共有持分の割合に応じてそれぞれに帰属することになりますので、この場合は、BとCに均等に1/3×1/2=1/6ずつ帰属することになります(民法255条)。共有持分の放棄は単独行為(単独の意思表示だけで成立する法律行為)で、しかも相手方を必要としない行為とされていますので、理屈上は、他の共有者に対する通知がなくても成立することになります。
しかし、不動産の共有持分の放棄を単独で行っても、放棄の登記をしなければ、固定資産税の課税を免れる(地方税法343条2項)ことができません。
そして、登記としては、他の共有者にその権利が帰属することから、登記実務上は、持分権の移転登記を行わなければなりません。
このため、共有持分の放棄は、他の共有者への通知(配達証明書付内容証明郵便)によって行う必要があります。また、持分権の移転登記は、他の共有者(本件だとB、C)と共同申請で行わなければなりませんが、B、Cも本件土地の処理に困っているのが通常ですので、移転登記の設定には協力していただけないことも多いと思います。
その場合は、登記引取請求訴訟を提起することになります。
なお、共有持分の放棄を行った場合、税務上は、個人のAから個人のB及びCに対し贈与があったものとして課税されることになります(みなし贈与:相続税法9条)。
本件の場合で、Aの後、Bが放棄した場合、Cはどうしたらよいでしょうか。
民法上は、239条2項で、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」とされていますので、理屈上は、Cが放棄して、所有者のない土地として国庫に帰属させることができそうです。
しかし、不動産の所有者が所有権を放棄した場合に国が不動産を引き取る仕組みがないため、Cは放棄ができず、結局は、誰が早く共有持分の放棄を行うかの早い者勝ちとなります。この構造上、前記の訴訟の場合に権利濫用で請求が棄却されないように注意する必要があります。
共有持分の放棄を検討される場合は、共有に強い弁護士にご相談下さい。
共有持分の放棄(全体の流れ)
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