私(相談者)と友達は二人でリゾートマンションの一室を購入し共有して、共同で利用しています。
しかし、マンションの固定資産税や管理費、修繕費、さらに水道・光熱費は、私が支払っていますが、友達は請求しても払ってくれません。
どうしたらよいでしょうか。

1 費用償還請求に基づく請求・訴訟

相談者は、この共有物であるリゾートマンションについて、友人の負担部分も含め固定資産税や管理費、修繕費、さらに水道・光熱費の全額を支払っていますから、友達(共有者)の負担部分について、他人のために事務を管理したとして事務管理が成立し、費用償還請求権が発生します。

そこで、この請求権に基づき、請求を行い、支払わない場合は、訴訟を行うことが考えられます

2 共有物持分取得権

相談者は、下記①~③の条件を満たす場合に友人の共有持分を取得することができます
なお、本取得権の行使は、費用を支出した共有者(本件の場合は相談者)以外も可能です。

① 友人に管理の費用、その他共有物に関する費用について、相談者に対する不払いがあること(民法253条1項)。
ここでいう管理の費用には、共有物の維持、改良等のための必要費、有益費が含まれ、その他負担については、租税等が含まれるものとされています。
そこで、本件の場合、管理費・修繕費は、管理の費用に含まれ、固定資産税はその他共有物に関する費用に含まれますが、水道・光熱費は、このどちらにもあたりません。
そこで、水道・光熱費は、共有物持分取取得権の行使の場合は、費用には含まれません。
ただし、費用償還請求権に基づき、訴訟で請求できることは、前記「1」記載のとおりです。

② 相談者が、立て替えた①の費用を請求してから、1年過ぎても友人が支払わないこと。

③ 相談者が友人に対し、相当な償金(友人の共有持分の代金)を提供するとともに持分を取得する意思表示(通知)をすること。
なお、償金については、友人の持分全額に相当する償金を提供することが必要です。
費用支出者(相談者)が持分権を取得する場合には、費用償還請求権と償金債務を相殺する形で清算することができます

3 持分譲受者に対する共有物関連債権の請求

共有物に関して共有者間に発生した債権は、持分権の譲渡を受けて新たに共有者になった者に対しても主張・請求できます(民法254条)。

ここでいう共有者間に発生した債権は、前記「2」の管理の費用、その他共有物に関する費用を含みますが、それより広く、持分権の譲受人は、従前の共有者間で決められた共有物の使用方法にも拘束されるとされています。

4 共有の債権に対する弁済

共有者の1人(この場合は相談者)が、他の共有者(この場合は友人)に共有の債権(管理の費用、その他共有物に関する費用等を立て替えた債権)を持つときは、共有物の分割が行われた場合は、相談者は、友人に帰属すべき共有物の分割部分を弁済に充てることができます(民法259条1項)。

さらに、相談者は、友人に帰属すべき共有物部分の売却を請求し、売却代金から弁済を受けることもできます(民法259条2項)