母親が亡くなり、兄弟姉妹がその遺産をどう分けるか話し合っても互いに感情的になり、合意できません。
そこで、遺産分割調停を家庭裁判所に申立てようと思います。
ただ、調停がうまく成立すればよいですが、成立しない場合、調停はどのようになるのでしょうか
また、調停は、どの程度の期間がかかるものなのでしょうか
調停手続の終わり方としては、①調停の成立②審判手続への移行③調停に代わる審判④取下げ⑤調停をしない措置(なさず、家事審判手続法271条、家事審判規則132条1項)があります。
この記事では、①調停の成立、②審判手続への移行について、説明します。

①調停の成立の遺産分割調停の成立が調停手続の終了であることは、わかりやすいでしょう。
東京家庭裁判所では、7回の調停期日を調停成立の目安としているようです
期日の間の期間は、1ヶ月から2ヶ月ですので、大体、1年程度の期間が目安となります。
ただし、遺産の不動産の売却が問題となる事案や、遺産の分割方法(現物分割、代償分割等)が争点の事案等ですと数年かかることもあります。

調停が不成立で終了した場合は、調停の申立の時に遺産分割の審判の申立があったものとみなされ、遺産分割事件は、②の(家事)審理手続に移行し、審判手続が開始されます。
この開始は、当然に行われるもので、申立ての必要はありませんし、手数料の納付も必要ありません。
調停の管轄が相手方当事者の住所地であるのに対し、審判の管轄は、相続開始地のため、調停の管轄裁判所に審判の管轄がないこともありますが、この場合、調停を行った裁判所は、管轄のある裁判所に当該事件を移送するか、事情によっては、自庁処理決定(調停を行った裁判所で審判も行う決定)をすることもあります

(家事)審判とは、家庭裁判所がする裁判です。地方裁判所の行う民事訴訟の裁判に対置されるものです。

調停は当事者同士の話し合いの場でしたが、(家事)審判手続は裁判官による判断の場です。
審判手続の後、話し合うためには、また、裁判官が付調停の手続(調停の手続に戻すこと)をしなくてはなりません
また、民事訴訟の裁判と比べ、裁判官の裁量の範囲が広いことにも、注意が必要です(例えば、相続人の一方が遺産分割の方法として「現物分割」を望んでおり、他方相続人が「競売」を望んでいても、審判では当事者の誰も望まない相続財産の「共有」を決めることもできます)。

審判の結果に不服がある場合は、即時抗告をしなくてはなりません

審判手続を人の専門知識がない方が行うのは難しいと思います。調停で、審判手続に移行しそうな場合は、もし弁護士を付けていなければ、弁護士に相談されることをお勧めします。