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母が亡くなりました。相続人は、私と兄の二人です。兄から母の亡くなった日の預金口座の残高証明書を見せられましたが、私が思っていたより、2000万円以上、残高が少ないです。
母の口座について兄に聞いたところ、自分は母の預金から引き出したことはないと言いました。
私は、母と離れて暮らしており、あまり連絡を取っていなかったことから、母の状況がよくわかりません。
このような場合は、何をどのように調べたらよいのでしょうか。
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まず、銀行等の金融機関の取引履歴を取得するべきであることは、「使途不明金の調査1(取引履歴の取得)」で、記載したとおりです。
被相続人(この場合は、母親)の生活状況等がわかっていれば、どれが、不振なお金の引出なのかがある程度、わかりますが、疎遠であるなどの場合は、なかなかわからないことが多いでしょう。
このような場合に、取引履歴の中の不審な引出、振込を探す基準としては、通常は、やはり、数百万円以上の引出等あるいは、何十万円程度であっても、連続して行われている場合などです。
被相続人の死亡後の引出であれば、被相続人が引出等したことはありえません(とはいえ、誰が引き出したかの調査が必要な場合はあります。)。
そこで、特に調査が必要なのは、生前の引出・送金です。それらについて、取引履歴から、それが引出なのか、振込なのかを見ます。
次に、それらの引出・振込は、銀行等の金融機関の店舗で手続が行われたのか、ATMで、カードで手続が行われたのか、さらに、その金融機関やATMのある場所はどこかを確認します。
上記の情報について、取引履歴では、記号で書かれていることが多いので、その意味がわからなければ、金融機関に聞くことになります。
被相続人の生活地域外で引き出し、送金されていれば、より怪しいことになります。振込の場合は、振込先を確認することになります。カタカナで、振込先が記載されていれば、HPで検索する等し、場合によっては、手紙、電話等で、そこに振り込まれたのかを確認することになります。金額が大きく、店舗で振込の手続をした場合には、当該金融機関から払戻請求書等の現金引出の書類のコピーを取得する等することになります。
また、カードの再発行、種類の変更(磁気カードへの変更)が行われている場合は、カードの紛失届、再発行の申請書、カードの種別の変更申請書等のコピーを取得することになります。
これらの書類のコピーは、相続人であれば取得できる金融機関もありますが、弁護士会照会でなければ取得できない金融機関、裁判所の手続でなければ取得できない金融機関もありますので、取得手続については、当該金融機関に確認して下さい。
できれば、ATMで誰がお金を引き出したり、振り込んだりしたかの画像記録も取得することが望ましい場合もありますが、このような画像記録は、通常、証拠保全、文書送付嘱託等の裁判所の手続でなくては、金融機関が開示せず、また、保存期間の関係等から、裁判の手続を取ったとしても、取得できるとは限りません。
ただ、これらの書類から、他の相続人の引出・振込が分かったとしても、被相続人には当時、判断能力があり、頼まれたと反論されることがあります。
そこで、当時の被相続人の身体・精神の状況についての資料を集める必要がありますが、それについて、また、別の記事で記載します。
使途不明金の調査2(引き出しに関与していない等の反論が予想される場合-金融機関の記録の取得)。
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